大阪地方裁判所 昭和53年(ワ)5252号 判決
第一 測量柱の実用新案権についての独占的実施権に基づく請求について
一 訴外木村真七が本件実用新案権甲の権利者として登録されていることは被告の自認するところであり、被告は、同訴外人が原告会社の代表取締役であることを明らかに争わないから自白したものとみなし、右事実と成立に争いのない甲第一号証の二、乙第一号証、弁論の全趣旨を総合すれば、請求原因1の事実(原告が本件実用新案権甲の独占的実施権を有すること等)が認められ、請求原因2の主張(本件考案甲の構成要件)、同4の事実(被告がイ号物件を業として製造販売していること)は当事者間に争いがない。そして、右認定のイ号物件からすると、請求原因5の主張(イ号物件の構成)のうち、構成(イ)´、(ハ)´、(ニ)´、(ホ)´、(ヘ)´については、原告主張のとおり分説すべきであり(被告も争わない)、構成(ロ)´については、「平面体の表面に文字目盛を記載していること。」とするのが相当である。
二 ところで、原告の有する独占的実施権が登録されたものであることの主張、立証はないところ、未登録の独占的実施権に基づいて第三者に対し、権利侵害を理由とする損害賠償請求ができるか、これを肯定するとして、いかなる要件のもとにこれを認めるかについて、議論の存するところであるが、この点はしばらく措き、イ号物件が本件考案甲の技術的範囲に属するか否かを検討する。
右認定事実によれば、イ号物件の構成(イ)´、(ハ)´、(ニ)´、(ホ)´、(ヘ)´は、順次、本件考案甲の構成要件(イ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)を充足するが、イ号物件の構成(ロ)´は、本件考案甲の構成要件(ロ)を充足しないことが明らかである。
そして、前掲甲第一号証の二によれば、本実用新案公報の考案の詳細な説明には、本件考案甲の構成要件の態様の説明に引き続き、「以上のごとき構造体において目盛の内面体6記載にて消失汚損変字等も無く(公報一ページ左欄下から四行目及び三行目)」と記載されていることが認められ、右によれば、本件考案甲は、構成要件(ロ)、すなわち、裏面に文字目盛等を記載せる目盛板を接着剤にて該平面体に貼着するという方法を採用することによつて、平面体に直接文字目盛等を記載する場合に起りうると考えられる文字目盛の消失、汚損、変字等を防止したものということができるが、これに対し、イ号物件は、構成(ロ)´にあるとおり、平面体に直接文字目盛を記載したものであるから、右のような作用効果を生じないことが明らかである。
原告の反論1のうち、本件考案甲の構成要件(ロ)に関する主張は、実用新案登録請求の範囲に記載された事項の一つである構成要件(ロ)を無視するものであつて、実用新案法二六条で準用する特許法七〇条の規定に照し、とうてい採用しえないというべきである。また、同反論のうち、イ号物件の構造が実質的に構成要件(ロ)と同じであり、同様の作用効果を奏するとの点については、イ号物件が全面体を合成樹脂にて被覆されていることにより、文字目盛の消失、汚損、変字等が防止されるとしても、右は、本件考案甲の構成要件(ロ)の構成によつて達成されたものではなく、構成要件(ロ)の採用によつて達成した作用効果とは、消失、汚損、変字等の防止の程度が著しく異るであろうことは容易に推察できるから、イ号物件の構成(ロ)´と構成要件(ロ)とは実質的にも同じであるとはいえず、この点についての作用効果も異なるのであるから、右主張も採用の限りでない。
三 以上のとおりであつて、イ号物件は本件考案甲の技術的範囲に属しないといわなければならず、被告が業としてイ号物件を製造販売したことは本件実用新案権甲、その独占的実施権を侵害するものではない。
第二 測量柱の意匠権についての独占的実施権に基づく請求について
一 訴外木村真七が本件意匠権の権利者として登録されていたことは被告の自認するところであり、前認定のとおり、同訴外人は原告会社の代表取締役であり、右事実と成立に争いのない甲第二号証の二、乙第二号証、弁論の全趣旨を総合すれば、請求原因1の事実(原告が本件意匠権の独占的実施権を有すること等)が認められ、請求原因2の事実(被告が被告製品を業として製造販売していること)は当事者間に争いがない。
二 原告の有する独占的実施権が登録されたものであるとの主張、立証はないところ、未登録の独占的実施権に基づく損害賠償請求権の有無等の点はしばらく措き、被告意匠と本件意匠との類似の有無を検討する。
まず、本件意匠の構成は、右争いのない別紙意匠図面からすると、次のとおりであると認められる。
(a) 細長い円形パイプの一側面を平面にし、同部分に目盛を記載していること。
(b) 円形部分に赤と白の同一幅の帯模様を交互に描いていること。
(c) 平面にした部分の横方向左右の両側部分に円形部分の赤と白の帯模様にあわせて赤と白の同一幅の帯模様を交互に描いていること。
(d) 平面にした部分の中央部分に記載された目盛は、一目盛をやや幅のある白色線で表わし、平面にした部分を白色の中心線によつて左右に分け、十目盛を一単位とする目盛群を左右交互に記載するようにし、一単位の目盛群の記載された中心線の反対側部分の中央部に白色横線を記載し、その下部に白色縦線を、上部に白色の少さな丸い点を二個、各記載し、以上の白色部分及び前記両端部分の赤白の模様部分以外の部分は黒色に塗りつぶしてあり、目盛の文字は記載していないこと。
(e) 円形パイプの先端部分は円錐形のとがつた形状をなし、後端部は覆蓋をとりつけ平担状となつていること。
次に、本件意匠の要部について考える。
成立に争いのない甲第一五号証の一、乙第四号証の一、二によれば、本件意匠の公知資料として、実公昭二九―五三六四号公報(昭和二九年五月二五日公告)、昭和一六年実用新案出願公告第一二二一七号公報(昭和一六年八月二二日公告)、実公昭三六―八八七一号公報(昭和三六年四月二〇日公告)が存在することが認められ、右公知資料と対照すると、測量柱において、その横断面の形状を円形とし、全体の形状を縦に細長い円形棒状とすること、その先端部を円錐形のとがつた形状とし、後端部を平担状とし、外面を赤と白の同一幅の帯模様に描き分けること、測量柱の横断面の形状を半円形とし、全体の形状を縦に細長い半円形棒状とし、その平面体となつている部分に目盛を記載すること、以上の各構成は、本件意匠出願前公知であつたということができる。そして、本件意匠において、最も見る者の注意を引く部分は、測量柱全体の形状若しくは色彩等に特異な点がない限り、物品が使用される態様から考えて、個々の目盛の形状、模様、色彩、それらが集積された全体としての目盛部分の形状、模様、色彩にあるということができる。そうすると、本件意匠の構成のうち、(a)の構成は、前記公知の半円形棒状の測量柱に極めて近似しており、かつ格別特異な形状を有するものではなく、また特に見る者の注意を引くような目立つた点もないから、本件意匠の要部とすることはできず、(b)、(c)、(e)の各構成は、見る者の注意を引きやすい部分の形状、模様、色彩に関するものであるが、右の点は、いずれも、既に本件意匠出願前公知であつたといいうるから、本件意匠の要部とすることはできないところ、(d)の構成こそは、新規で、かつ、最も見る者の注意を引く部分であるから、本件意匠の要部であるということができる。
原告は、測量柱の目盛には種々のものがあり、目盛自体測量柱には不可欠であるから、目盛の意匠的価値は低いこと、このことは、時計の文字盤の文字目盛が異つても、類似する意匠として登録されていること、被告意匠の目盛の紋様と同じものが、本件意匠の出願前後を通じ周知であることによつても裏付けられるとし、本件意匠の要部は、従来公知であつた赤白模様を表わした円形パイプ形状の測量柱において、一側面を平面とし、この平面にした部分に文字目盛を記載した点(前記(a)の構成)にあると主張するが失当である。すなわち、測量柱において、目盛が不可欠であり、目盛に種々のものがあるからこそ、目盛の意匠に新規性、独創性を盛りこむ意味と必要が生じるのであり、目盛の意匠的価値が高いことはいうまでもなく、これが低いと軽視することはできないのであつて、成立に争いのない甲第四ないし第一一号証の各一、二、第一二、第一三号証の各一ないし三、第一四号証の一、二により認められる、時計の文字盤等の文字目盛の意匠について、その本意匠と類似意匠の関係も、意匠にかかる物品が異るから本件に適切でなく、被告意匠の目盛の紋様と同じものが本件意匠の出願前周知であり、出願後も使用されている(この事実は成立に争いのない甲第一五号証の一ないし三、甲第一六号証の一ないし九により認められる)としても、それは、被告意匠が周知の目盛の紋様を採用したことを意味するにとどまり、本件意匠における目盛の意匠的価値が低いことを肯認させる事由とはなりえず、また、本件意匠に右目盛の紋様が採用されていない以上、本件意匠の要部を決定するうえでの参考資料とすることもできない。そして、構成(a)を本件意匠の要部とすることのできないことは前説示のとおりである。
進んで、被告意匠と本件意匠との類似の有無について判断する。
前認定事実によれば、被告意匠は目盛付測量柱にかかり、本件意匠の要部である構成(d)に対応する被告意匠の構成は、次のとおりであると認められる。
記
平面にした部分の中央部分に記載された目盛は、後端部から第一番目、第二番目、第四番目の目盛(以下第六番目、第七番目、第九番目等順次五個おきの目盛につき同じ)を<省略>の形とし、第三番目の目盛(以下第八番目等順次五個おきの目盛につき同じ)を<省略>の形とし、第五番目の目盛(以下第一〇番目等順次五個おきの目盛につき同じ)を<省略>の形とし、いずれも黒色で塗つて表わし、右目盛を、第一番目から順次、平面にした部分の中心線よりやや左側から右側部分にかけて後端部から縦方向に一列に記載し、五目盛を一単位とする目盛群の左側に順次1から9までの数字(ただし、5はローマ数字のV)をくりかえし、黒色で、10は1と黒色で20は2と赤色で、それぞれ縦に細長い書体で記載し、11から19を示す1から9までの各数字の上部に小さな三角形を黒線で描き、その内部を赤色で塗り、以上の目盛、数字、三角形部分及び前記両端部分の赤白の模様以外の部分は白色に塗りつぶしてある。
そこで、本件意匠の構成(d)と被告意匠の右構成を対比すると、本件意匠は、目盛を白色線で表わし、十目盛を一単位とする目盛群を左右交互に記載し、前記の白色縦線及び白色の丸い点を配置し、右目盛等のほかは黒色に塗られ、また目盛の文字が記載されていないのに対し、被告意匠は、目盛を黒色の形状(<省略>)で表わし、これを縦に一列につらね、目盛の文字を記載し、前記の黒枠に赤色の三角点が記載され、右目盛、文字等のほかは白色に塗られており、右の点において両意匠の相違が顕著である。そして、全体的観察によれば、本件意匠が、黒色の地に白色の目盛線を表示した感じを与えることにより、精悍な印象を与え、また、十目盛を一単位とする目盛群を左右交互に記載したことにより、左右にリズミカルな交互の動きを感じさせつつ、縦方向に目盛が延びてゆくという躍動感を与えるのに対し、被告意匠が、白色の地に黒色の目盛及び文字を表示したことにより、平凡な、おとなしい印象を与え、また、<省略>の形の目盛を縦方向につらねることにより、縦方向に一直線につらなる単調なリズム感を与えるという点において、その美感も異ると評価するのが相当である。したがつて、被告意匠は、本件意匠に類似しないというべきである。
三 以上のとおりであるから、被告が業として被告製品を製造販売したことは本件意匠権、その独占的実施権を侵害するものではない。
第三 間隔測定杆の実用新案権に基づく請求について
一 請求原因1の事実(原告が本件実用新案権乙を有すること)は当事者間に争いがなく、右認定の実用新案登録請求の範囲に基づき、本件考案の構成要件を分説すると、請求原因2のとおりとするのが相当である。そして、請求原因4のうち、ロ号物件(一)、(二)の特定については、被告製造の測定杆であることにつき争いのない検乙第三号証によると、別紙第三目録(一)、(二)の各説明書中、「湾曲させて」とあるのを「折曲させて」とし、「湾曲部」とあるのを「折曲部」とし、「該湾曲部底部をして架線等測定物の導入停止点とするとともに、該湾曲部底部を測定時における基数点と定め」とあるのを「該腕部下辺をして架線等測定物の導入停止点とするとともに、該腕部下辺を測定時における基数点と定め」とし、同目録(一)、(二)の各添付図面の記載中、「湾曲部」とあるのを「折曲部」とするのが相当であり、その余の部分は、請求原因4のとおりとすることにつき、当事者間に争いがない。
右認定に基づき、ロ号物件(一)、(二)の構成を分説すると次のとおりとなる。
(イ)´ 一定の長さを有し、かつこれを伸縮自在状に連結した杆柱であること。
(ロ)´ 杆柱の先端部に、水平方向両側に伸出した腕部と該腕部の両先端(ロ号物件(一)の場合)若しくは該腕部のうちの一の腕部の先端(ロ号物件(二)の場合)を下方に折曲させてなる折曲部とを備えた掛留具を取付け設けていること。
(ハ)´ 該腕部下辺をして架線等測定物の導入停止点とするとともに、該腕部下辺を測定時における基数点と定め、該基数点と杆柱間の間隔を杆柱上において算定し、求めうるようにしていること。
(ニ)´ 以上より成る架線等宙間距離間隔測定杆であること。
二 そこで、ロ号物件(一)、(二)が本件考案乙の技術的範囲に属するか否かについて考えるに、前認定事実によれば、ロ号物件(一)、(二)の構成(イ)´と(ニ)´は、それぞれ本件考案乙の構成要件(イ)と(ニ)を充足するが、構成(ロ)´と(ハ)´は、それぞれ構成要件(ロ)と(ハ)を充足しないことが明らかである。
そして、成立に争いのない甲第三号証の二によれば、本実用新案公報の考案の詳細な説明には、本件考案乙の構成要件の態様の説明に引き続き、「而して架線Dに前記堀留具(注、掛留具の誤記と認められる)Aの上向彎曲部1を下方より、或は下向彎曲腕部2を外方より引掛して接当するに、該架線Dが彎曲内面に導かれ遂には彎曲底部3若しくは4にて停止する。かくして該停止点を基数H点として該停止点、即ち架線Dと主杆Bとの間隔を主杆上の目盛5………との計数を以て容易に求め得ることが出来るのである。」(公報一欄三四行目から二欄二行目)。また、「以上の如く本考案に関わる間隔測定杆は通常の測定具の如く固定せる物体の長さを単に測定するものとは根本的に相異とするものであつて、掛留具Aを彎曲腕部形状とし、且つ該彎曲底部3、4を測定時における基数H点としたものであるから架線Dに彎曲腕部1、2を軽く接当するのみにて該架線Dが該掛留具Aに容易に引掛し、而も此れを自然的にして測定基数であるH点にまで導入行わしめ、測定位置を正確に決定し、以て確実なる測定数が計数求められると共に(公報二欄一〇行目から一九行目)」と記載されていることが認められる。右記載と前認定「実用新案登録請求の範囲」の記載とを合わせ考えると、本件考案乙は、構成要件(ロ)のような湾曲腕部形状の掛留具を用いることによつて、構成要件(ハ)のように、湾曲底部を、測定物の導入停止点とし、かつ測定時の基数点とすることができるのであり、右構成によつて、測定物の導入停止点が湾曲内面に導かれたうえ、湾曲底部の特定の一点に自然に定まるのであり、かくして測定時における基数H点が一義的に定まるので、測定位置が正確に決定され、確実な測定値が求められるという作用効果が得られるのである。一方、ロ号物件(一)、(二)は、構成(ロ)´のような水平方向両側に伸出した腕部を持つ掛留具を用いているから、構成(ハ)´のように、腕部下辺という一定のひろがりのある部分を、測定物の導入停止点とし、測定時の基数点とせざるをえないのであり、そのために、測定物の導入停止点、更には測定時の基数点が一義的に定まらず、測定位置にばらつきが出てくることは容易に想到しうるのであつて、本件考案乙が構成要件(ロ)、(ハ)を採用したことより達成しうる作用効果を奏しないというべきである。
原告の反論は、要するに、実際上ロ号物件(一)、(二)も本件考案乙を実施したのと同じように実用に供しうる旨主張しているにすぎず、もとより前認定を左右するものではない。
三 以上のとおりであつて、ロ号物件(一)、(二)は本件考案乙の技術的範囲に属しないといわなければならず、被告が業としてロ号物件(一)、(二)を製造販売したことは本件実用新案権乙を侵害するものではない。
第四 結語
よつて、原告の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、すべて理由がないから、いずれもこれを棄却することとする。
〔編註〕本体における請求原因は左のとおりである。
1 訴外木村真七は、次の実用新案権(以下これを「本件実用新案権甲」といい、その考案を「本件考案甲」という)を有しており、原告は、本件考案甲につき、同訴外人(原告会社の代表取締役)との間で締結した実施契約に基づき、独占的実施権を有する。(中略)
(五) 実用新案登録請求の範囲
「図面に示すように金属性体の中空パイプ管の一体面を平面体と成し裏面に文字目盛等を記載せる目盛板を接着剤にて該平面体に貼着し全面体を合成樹脂等にて被覆成し接合部に断面パイプ管と同型体の金属管を挿入組立解体自在状としかつ管最端部に金属性覆蓋を嵌入せしめて成る目盛付測量柱の構造。」
2 本件考案甲の構成要件は、次のとおりである。
(イ) 金属性体の中空パイプ管の一面体を平面体となしていること。
(ロ) 裏面に文字目盛等を記載せる目盛板を接着剤にて前記平面体に貼着していること。
(ハ) 全面体を合成樹脂等にて被覆していること。
(ニ) 接合部に断面パイプ管と同型体の金属管を挿入組立解体自在状としていること。
(ホ) 管最端部に金属性覆蓋を嵌入せしめて成ること。
(ヘ) 以上より成る目盛付測量柱であること。
3 本件考案甲の作用効果は、次のとおりである。
(1) 一面平面体を有する円状型なので、接合時の遊動を密着して停止させることができ、かつ使用時に挿入部の左右の転動を完全に防止しえること。
(2) 平面体部分に目盛板を貼付することにより、目盛欄は、従来における円状面に記載されたものに比べて非常に見易く、遠隔からも相当確実に視読することができること。
(3) 測量柱の全面体を合成樹脂等により被覆することにより、目盛の消去脱落を防止できること。
(4) 挿入組立解体自在状とすることにより、携帯至便であること。
(5) 管最端部に金属性覆蓋を嵌入せしめることにより湿度関係時における悪滑動または重量増加のうれいがないこと。
(6) 全面体が合成樹脂等被覆体であるから防水性がよいこと。
(7) 目盛の消失、汚損、変字等がないこと。
4 被告は、別紙第一目録記載の製品(以下「イ号物件」という)を、業として製造販売している。
5 イ号物件の構成は、次のとおりであり、その作用効果は、本件考案甲のそれと同じである。
(イ)´ 金属性体、すなわち真鍮の中空パイプ管の一面体を平面体となしていること。
(ロ)´ 裏面に文字目盛を記載する極薄の目盛板を接着剤にて前記平面体に貼着していること。
(ハ)´ 全面体を合成樹脂にて被覆していること。
(ニ)´ 接合部に断面パイプ管と同型体の金属管、すなわち真鍮管を挿入組立解体自在状としていること。
(ホ)´ 管最端部に金属性、すなわち鉄製の覆蓋を嵌入せしめていること。
(ヘ)´ 以上より成る目盛付測量柱であること。
6 本件考案甲とイ号物件の対比
イ号物件の構成(イ)´ないし(ヘ)´は、順次本件考案甲の構成要件(イ)ないし(ヘ)を充足し、イ号物件は、右構成によつて本件考案甲の作用効果と同一の作用効果を達成しているから、本件考案甲の技術的範囲に属する。
7 被告は、イ号物件を業として製造販売することが、訴外木村真七の本件実用新案権甲及び原告の前記独占的実施権を侵害することになることを知りながら、もしくは過失により知らないで、昭和四三年一月一五日から昭和四八年一〇月三一日までの間に、イ号物件を年間一〇〇〇本製造して一本約金五〇〇〇円で販売し、一本につき金二〇〇〇円をくだらない利益をあげていたから、右期間中に少くとも金一〇〇〇万円をくだらない利益を得た。
よつて、原告は、少くとも右同額の損害を蒙つたので、被告に対し、本件実用新案権甲の独占的実施権侵害による金一〇〇〇万円の損害賠償請求権を有する。